2023/05/14

2023年2月リリースレビュー

 

2023年2月リリース作品を振り返ります。

YUKI / パレードが続くなら
Country: Tokyo, JP
Label: Sony Music
国内では知らない人は居ないくらい有名なPopシンガー。
ソロ活動20周年という節目にリリースされたアルバムです。JUDY AND MARY時代を含めたらかなりのベテラン。
収録曲の「Dreamin'」ではあの銀杏BOYZ峯田が作詞作曲として参加しています。
YUKI曰く、他人が書いた歌詞を歌う事は滅多にないそうだけれど、新しい試みとかつての縁から峯田を信頼し自らお願いしたそう。
それでこのアルバムのキラーチューンは間違いなく"タイムカプセル"という曲です。自分の周りでも「あの曲いっちゃん良かった」って評判だったし、アルバムの中では断トツキャッチ―。残念ながらYoutubeには動画が無いので、気になる人はアルバムを聞いてみてください。


VA / Tor Johnson Records: 20th Anniversary Subscription Series
Label: Tor Johnson Records
Tor Johnson Records主催のアニバーサリーコンピレーションアルバム。
収録曲数が40曲超えでかなりボリュームのある内容になっています。
レーベル所属のバンドはもちろん、Dikembe、Slingshot Dakota、My Fictionsといった2010年代のEmo/Punkシーンを席巻したバンドも参加。
カバー曲や未発表音源などが目白押しです。Bandcampから試聴できます。


Paramore / This Is Why
Country: Tennessee, US
Label: Atlantic Records
前作から6年も経っているということに驚き。世界が待ち望んだParamoreの6thアルバム。
4th以降、徐々にその音楽性を変化させてきましたが今作ではPost-Punk/New Waveなアプローチがかなり印象に残ります。UKの空気感をまとった楽曲が多く、Hayleyが敬愛するBloc Partyからの影響がかなり色濃く反映されているのがわかる。
"This Is Why"のミュージックビデオを手掛けたのはTurnstileのVo.であるBrendan Yates。クリエイターとしても有能とかどうなってんのよ。


Narrow Head / Moments Of Clarity
Country: Texas, US
Label: Run For Cover Records
昨今巷で言われているHeavy Shoegazerというジャンル。
Narrow Headは正しくそこに当てはまるだろうなっていう音楽性です。
音の感じとかがBalance And Composureの2ndアルバムを思い出します。
1stよりもキャッチ―な仕上がりを見せていてかなり聴きやすいです。
HumとかDeftones好きな人におすすめ。


Thin / Dusk
Country: New York, US
Label: Twelve Gauge Records
Emoviolence/Screamoのエッセンスよりも、Grindcoreの要素が垣間見えるバンドです。
ほとんどの曲が1分未満で、怒涛の畳みかけとショートチューンの中に詰め込まれた複数の展開はSkramzのそれを思い起こさせるなぁ。
新しさはあるけどまだ完全体ではない感じがするので今後に期待。


Whirr / Muta
Country: California, US
Label: Free Whirl Records
ex-Deafheavenのメンバーが在籍するShoegazerバンド。
このバンドの作り出す空気っていうのが、そんじょそこらのShoegazerとは頭1つくらい違うわけですよ。映像面とかプロダクションの面からも、ザ・哀愁を演出しているわけだけれど、音楽性も相まってバチっとハマっちゃってる。
所謂、昨今日本でも言われている「エモい」に限りなく近いっちゃ近い。
でもこれをやっているがTikTokerとかインスタグラマーじゃなくでWhirrだから俺は許すし、この世界観に浸れるのです。


See You Next Tuesday / Distractions
Country: Michigan, US
Label: Good Fight Music
十数年ぶりのカムバックということで、まさかこの歳になってSYNTの新譜を聴くことになるとは思いませんでした。
当時高校1年生だった頃の自分はDeathcoreがブームでした。Bring Me The Horizonの1stとかSuicide Silenceなんかが出てきた頃です。Myspaceを巡回警備中に見つけたのがSYNTでした。その時聴いていたDeathcoreなんかよりも遥かにカオスで衝撃を受けたのを覚えている。
Grindcore/Goregrindのように恐ろしいBPMで展開されていく曲が多かったですが、今作でもその傾向は残っています。ただHxCの様式美のような部分も垣間見えて、ブレイクダウン+シンガロングというパートが合ったりするからそういう部分にかっこよさを感じてしまうのでした。
ちなみにSee You Next Tuesdayっていうバンド名は、C U Next Tuesday=頭文字を取ってCUNTになるので女性器のスラングなのです。お上品な下品。


Locater / Clandestine
Country: Manitoba, CA
Label: No Sleep Records
Sit CalmというMath Rockバンドの変名バンドLouser・・・の変名バンドLocaterです。
つまりLouser=Locater。理由はわからないけどリリース前にバンド名が変わっていました。
このバンドはSit Calm時代が『Save FaceがMath Rockをやったら』みたいなサウンドで、そこから複雑さを削ぎ落してできあがったのがLocaterという感じ。
音作りが独特でGt.の音色やタイトなDr.が印象に残ります。
Math Rockほど難しくないけど小技はしっかり挟んでくるし、カッコよさに振り切っているようなサウンドです。


The Pomps / Bottom Of The Pomps
Country: Massachusetts, US
Label: Bad Timing Records
ボストン出身のSka/Dubバンド。
Big D And The Kids TableやHave Notsのメンバーが在籍しているというのを知って聴いてみました。
ばちばち琴線に触れてくるメロディで大変満足。
Big DはSka Punk/Skacoreの走りとして長らくシーンで活動しているし、Have Notsは既に活動していないバンドだけどかなりメロディセンスの良いバンドだったのでどちらも元々のポテンシャルが高いんですよねぇ。
特にHave Nots知らない人は是非聴いてみてほしいです。


The Tidal Sleep / About Leaving And Coming Home
Country: Mannheim, DE
Label: This Charming Man Records
ドイツのPost-Hardcoreバンド。
元々Defeaterを彷彿とするエモーショナルな曲が多かったですが、久しぶりに聴いた彼らはより欧州的な激情サウンドになっていました。
2012年のEP、2014年のアルバム以外は聴いていなかったので新譜はかなり久しぶり。自分が聴いていない間もSvalbardとスプリットを出したりしていたようです。
今で言うMelodic Hardcoreはこういうサウンドを指すのよね。


MIRSY / You're Alone
Country: California, US
Label: Deathfmradio
Vein.fmのメンバーが参加しているFleshwaterでVo.を務めるMarisa Shirarによるソロプロジェクト。
Dream Pop~ベッドルーム的な曲で構成されていて非常にミニマムなスケール。
Fleshwaterで見せたMarisaのスキルフルなVo.は健在です。


Skrillex / Quest For Fire
Country: California, US
Label: Atlantic Records
From First To LastのSony MooreことSkrillexさん。
EDM/Dub Stepのパイオニアである彼ですが、自身の作品としてアルバムをリリースしたのは9年ぶりだったようです。
今作では4つ打ちのビートを中心に曲が作られていて、当初のゴリゴリなDub Stepからは少し遠ざかった仕上がりとなっていました。
世界中のEDMフェスでは引っ張りだこで、EDMを聞かない人でもSkrillexの名前は知っているという人も多いはず。
今年のCoachellaではFrank Oceanの代打としてFour Tetと共にフロアを湧かしてしてみたい。


Skrillex / Don't Get Too Close
Country: California, US
Label: Atlantic Recore
上述のアルバムをリリースした翌日にサプライズでドロップされたのが今作です。
こっちが本命なんじゃないかってくらい客演も豪華でTrippie Redd、Yung Lean、Justin Bieberなんかが参加しています。SaosinやCirca Surviveを渡り歩いてきたAnthony Greenも参加していて、FFTL時代のよしみを感じさせてくれるのでとてもノスタルジーな気持ちになりました。
ほんでアルバムの途中で"Warped Tour ’05 with pete WENTZ"っていうインタールードがあるんだけど、これが当時のインタビュー音声を切り取ったもので非常に感慨深いんですよ。
Pete WentzはFall Out BoyのPeteで、Sonnyと一緒にインタビューを受けてる様子なんだよね。Sonnyは今ではSkrillexとしての知名度が圧倒的なわけだけど、FFTL時代に培った財産を粋な演出で見せてくれるのたまらんなぁ・・・


Stray Kids / THE SOUND
Country: Seoul, KR
Label: JYP Entertainment
全編日本語詞のアルバム。・・・なんだけど正直日本語じゃなくて良かったかなぁ。
K-Popって曲かっこいいよねって素直に思います。
『SKZ 2021』しか聴いてなかったけど、他のディスコグラフィもチェックしようと思ふ。


GADORO / RESTART
Country: Miyazaki, JP
Label: Four Mud Arrows
自主レーベルからのリリース。
もっとガチガチのタフなラップをしてた気がしたんだけど、どことなく三木道三を感じるハートフルな曲が多い。
成り上がりやフレックスよりも、人生観を説いたリリックが多いので本当に刺さる日本語ラップって自分にとってはこういうやつ。ZORNとか後期のKOHHなんかも、噛み砕いて言うなら当たり前とか普通がいっちゃん大事やでっていう内容だし、何より自分の生活にリンクする部分が多いっていうのが大きい。
もちろんハスリンとかギャングスタラップっていうのは、音楽としては好きだけど自分とは生きている世界が違うから共感性は無いし、そこに生きる人達の美学もわからないのよね。


Crowning & Eyelet / Split
Label: Zegma Beach Records
Crowningは今作で初めて知りました。
Frail Handsのようなエッジの効いたSkramzで、Chaoticな面とキャッチ―な面の塩梅がかなり良いです。
過去のディスコグラフィでもこのスタイルは一貫していて、Emoviolenceに通ずる不穏な展開を軸としてBeau NavireやLoma Prietaを彷彿とするメロディアスなフレーズが随所に散りばめられているから、初めて聴いたのにスッと耳に馴染みました。


Logic / College Park
Country: Meryland, US
Label: BobbyBoy Records
1度は育児の為に引退した彼ですが、復帰後も制作意欲は留まるところを知らずといった感じ。
今作はある種コンセプトアルバムになっていて、Logicとして歩んだある期間の回顧録のようなものになっています。曲と曲の間に挿入されているスキット(会話パート)でそれらが表現されていて、Logicがステージに立つまでの足取りを追ったような構成をしていました。
ドライブスルーで店員にイライラしてるLogic、強盗を返り討ちにするLogic、色んなLogicが垣間見えて面白い。


Gorillaz / Cracker Island
Country: London, UK
Label: Warner Records
BlurのDamon Albarnによるプロジェクト。もはや説明不要。
今年はCoachellaにも出演し、その錚々たる演出に感銘を受けた人も多いのでは。
お馴染みのキャラクター達がステージ上部でパフォーマンスしている光景は圧巻。
Damonがここまで見越してこういうプロジェクトを始めたのかはわからないけれど、今のこの時代に非常にマッチしたパフォーマンスであることは間違いないです。テクノロジーってすげえ。
Gorillaz自体、近年ではエレクトロニカと主体としてブラックミュージックに傾倒している節もあるから客演とかもHiphopやR&B出身の人達が多い。何なら客演が楽しみで聴いてる人も居そうだよね。


Real Friends / There's Nothing Worse Than Too Late
Country: Illinois, US
Label: Pure Noise Records
Vo.が代わってから2枚目のミニアルバム。
もう本当にDanの亡霊が付きまとっていて、こんなReal FriendsはReal Friendsじゃないという気持ちと、それでも曲のスタンスは変わっていないからチェックしてしまうという葛藤を抱えながらいつも聴いています。


Yeat / AftërLyfe
Country: California, US
Label: Geffen Records
若干23歳、所謂Z世代ど真ん中のラッパー。
前作ではRage Beatを基調としたエレクトリックなビートが多かったんですが、今作ではあまり印象に残る曲がありませんでした。
インパクトに欠けてしまったのが残念。


Don Toliver / Love Sick
Country: Texas, US
Label: Cactus Jack
客演でよく名前を見るラッパーだったのでチェックしてみました。
R&Bテイストが強いのでラップというよりも歌がメインだったり。
Cactus Jackと言えば、Travis Scottがボスのレーベルとして有名ですね。


Webbed Wing / Right After I Smoke This...
Country: Pennsylvania, US
Label: Memory Music
突如リリースされたEPだったけどこれがめちゃくちゃ良かった。
もう1曲目からキャッチ―でアップテンポなナンバー、昨今のAlt-Rockの良さだけを凝縮したトラックでした。Oasisに見られるUKの空気感を漂わせながら、インディーズ上がりのUSらしさもしっかりあってとにかくメロが強い。フックがあってリピートしまくりです。
Daylight時代からの付き合いであるWill Yep先生のレーベルからリリース。
イントロだけ聴くとJ-Popに近い物も感じるし、YUIとか思い出しちゃう。

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