2023/04/28

2023年1月リリースレビュー

 

2023年1月リリースの作品を振り返ります。

Fireworks / Higher Lonely Power
Country: Michigan, US
Label: Funeral Planet
Pop PunkバンドFireworksが元旦にリリースしたフルアルバム。
こちらは事前告知一切無しのサプライズリリースでした。
Fireworksと言えば、2010年以降のPop Punkシーンの最前線で活躍していたバンド。来日公演も見に行ったし当時は大学生だったので、思い出とリンクしているバンドの1つです。このブログの過去のアーカイブにもレビューがありますので是非探してみてね。
さて、今作は2014年ぶりのアルバムということで実に9年という時を経てのリリースでした。レーベルに縛られ続ける葛藤から解放されて、時間をかけてやりたいように作ってできたのがこのアルバムだそうです。自主レーベルからのリリースでした。
そういったのもあってこれまでのFireworks像を覆す様々なアプローチが多く、楽曲のテイストが本当に多種多様でした。Post-Punk/Post-Hardcoreといった新たな一面を覗かせながら、従来のFireworks節を感じるアレンジもしっかり残っていてファンにとっては歓喜と涙でエモくなる内容だったに違いない。


Half Thought / Blackout Curtain
Country: Pennsylvania, US
Label: Self-Released


YoungBoy Never Broke Again / I Rest My Case
Country: Louisiana, US
Label: Motown Records
通称NBA Youngboy。
"Hi Haters"という曲を聴いて興味を持ったので聴いてみました。Kodak Blackみたいにキャッチーなフロウと、メロディがはっきりしたビートで作られている曲が多いのでかなり聴きやすい。


One Step Closer / Songs For The Willow
Country: Pennsylvania, US
Label: Run For Cover Records
2021年に鮮烈なデビューを果たしたメロディックHxCバンド。
今年来日もしていましたね。1月には3曲入りのEPがリリースされました。
前作よりもTitle Fightみが増したような印象を受けます。


And Protector / snail tape
Country: Shizuoka, JP
Label: Self-Released
2014~15年くらいだっただろうか。
このバンドをピックアップしていた日本の音楽媒体がenvyを引き合いに出して紹介していたのを覚えています。
それを読んで、どう考えてもTitle Fightとかそっちからの影響だろ と思ってたのはここだけの話ってことで。ただメンバーも少し困惑のリアクションをしていた記憶があります。
初期はHxCの持つ熱量と、疾走感あるビートにメロディアスな展開がブレンドされた、国内では唯一無二なサウンドを放っていました。
作を追うごとに色々なアプローチを取り入れて、近年ではオルタナに傾倒した曲も特徴的でした。And Protectorのカラーは残しつつ、成熟した一面を見せてくれています。
このバンドはどんな方向性に変わってもハズレを引かない気がしている。
それほどにセンスが光っています。


New Found Glory / Make The Most Of It
Country: Florida, US
Label: Revelation Records
Pop Punkの大ベテラン。
HxCからEmoまでなんでもこなすPop Punkバンドの究極系と言っても過言ではないです。
もうこのバンドを追い続けて10年以上経ちますが、引き出しの多さに脱帽。
今作は全編アコースティックで構成されたアルバムなのに、老舗HxCレーベルのRevelationからリリースされているっていうのも、シーンから絶大な信頼があることの証明かなって思ってます。
どっかでも書いたかもしれないけど、個人的に一番好きなアルバムは"Coming Home"です。従来のNFGファンからは結構賛否ある仕上がりになってたみたいだけど、一番ハートフルでEmoを感じるアルバムだし、単純に好きな曲が多いんですよ。
ディスコグラフィが充実しているのはもちろん、こういうサウンドが好きならこのアルバムを聴くといいよ でオススメできちゃうのもNFGの強み。


Trippie Redd / Mansion Musik
Country: Ohio, US
Label: 10k Projects
今作はChief Keefプロデュースのもと制作されたアルバムとなっています。
あぁ、どうりでシンフォニックなアレンジが多いと思った。
Emo RapとかRage Beat、果てはバンドセットで作られた曲とか、色々な角度でHiphopを体現していて、枠組みに捉われないスタンスっていうのがTrippie Reddの評価ポイントだなと。
この曲なんかもGt.のリフなんか完全にBlack Metalだし、イントロだけで曲への期待値が高まっちゃいます。
毎回ワクワクを与えてくれて、チェックしないと!って思わせてくれるアルバムを作ってくれるから好き。そして今作はゲストが多く、メンツもかなり豪華なのでトラックリスト見ただけで気になっちゃうこと間違いなしです。


Kota The Friend / Lyrics To Go, Vol. 4
Country: New York, US
Label: FLTBYS
Lyrics To GoシリーズもVol.4まできました。
The Sound ProvidersとかSam Ockみたいな、Mellow Hiphopが好きなら間違いないでしょう。
相変わらずキャッチ―でスムースなビート満載でマジ体に優しいHiphopって感じ。


jyocho / 云う透り
Country: Kyoto, JP
Label: No Big Deal Records
日本を代表するインストがtoeなら、日本を代表するMath Rockと言えばjyochoといっても良いくらい一歩躍り出た感じがします。
難解不規則なリズムで、これだけとち狂ったGt.フレーズ聞かされたら嫌でも認めるしかないはず。
この曲がアニメのEDに起用されているのも良い。タイアップの力は強いですからね。


Ice Spice / Like...?
Country: New York, US
Label: 10k Projects
今年Hiphopシーンでフックアップされていたラッパーの一人。
兼ねてからRolling Loudとかには出演していたみたいだけど、満を持してEPがリリースされました。
アッパーなテンポに合わせた言葉遊びが気持ち良い。こういうビートは何て言うんだろうか。割と好きです。
トレードマークのアフロも印象に残る。


LEX / King Of Everything
Country: Kanagawa, JP
Label: Mary Joy Recordings
前作"LOGIC"の印象とは打って変わって、LEXの野心が詰まった1枚になっています。
というのもかなりUSのHiphopを意識した作りになっていて、ビートの雰囲気とかフロウの回し方とか、日本語のラップの水準を高めようとしている姿勢を感じました。
前作ではとにかく掴みの良さとノリが印象に残る仕上がりになっていたけれど、今作は割とクオリティで勝負してきてるところがある。
個人的には前作の方が好きだけど、LEXの声が好きだから曲出たら聴いちゃう。うん。


Fucked Up / One Day
Country: Ontario, Canada
Label: Merge Records
今作はバンドの要ともいえるBen Cockが不参加。脱退とかじゃないっぽいけど・・・そういうニュースも見てないしBandcampのアー写にも写ってるから、恐らく参加していないだけだと思われます。彼はYoung Guvとしての活動も活発に行っているから、スケジュールが合わなかったのかな。
さてFucked Upと言えば、Black Flag/Circle Jerks等の血を受け継いだミッドテンポなHxCにキャッチ―さがブレンドしたハイブリットなバンドとして、当初から注目されていました。
前作では実験的な要素が少し入ってましたが、今作では従来のFucked Up節が炸裂。一方で"Cicada"のような、もろ歌モノなトラックがあって新鮮。てか、これはもうBob Mould。
1曲目なんかはFucked Upらしさが詰まっていて好きなんだけど、"Cicada"が公開された時に完全に心持ってかれましたね。いつもならクリーンVo.はBen Cockが担っているんだけれど、メンバーの不在が功を奏している稀有な例です。
そしてこの曲は2020年に34歳という若さで亡くなってしまったRiley Galeに向けて作られた曲みたいです。RileyはPower Tripのフロントマンでしたが、このPower Tripが結構広い界隈で交友があるバンドでした。Fucked UpのようにPunk/HxCシーンだけでなく、Heavy Metal界隈からも一目を置かれていました。残念ながらVo.の訃報により、Lamb Of Godとのツアーは実現しなかったけれどこういうメンツで組まれていたことが何よりもその証明になっている。


戦慄かなの / Solitary
Country: Tokyo, JP
Label: fabulous
大森靖子がプロデュースしたアイドルグループZOCの元メンバーで、現在は実妹とのユニットfemme fataleで活動中。
テレビ番組にも出演していたので知っている人も多いかと思います。個人的な感覚では男よりも女性ファンの方が多い印象。
して、なぜこの子のアルバムを聴いてみようとなったか。単純に興味でした。ちなみにfemme fataleは聴いてません。あっちはあまり興味がわかない。
で、実際どうだったかというと思った以上に良いアルバムだったんですよ。もっとアイドル寄りのJ-POP的なサウンドを予想していたんですが、これが案外Hiphop的なノリが多くてキャッチ―。ライブでは呂布カルマとかJinmenusagiとか、界隈の人物をゲストに招いた自主企画も開催しているしソロ活動は結構硬派なイメージを受けました。


Sam Smith / Gloria
Country: London, UK
Label: Capitol Records
実はLily Allenと親戚のSam Smith。
ハイトーンで安定した歌唱力は彼の楽曲と非常にマッチしていて、聴くものの耳に癒しをもたらすようなそんなアルバムになっていました。
自分が普段HxCのように騒がしい音楽を聴いているのもあって、こういったPops/R&Bに特化した曲を聴くと、二日酔いの時に飲んだ味噌汁みたいな感覚になる。
Charlie PuthやShawn Mendes好きな人におすすめ。
てかSam Smith俺とタメとかウソでしょ・・・


Lil Yachty / Let's Start Here
Country: Georgia, US
Label: Motown Records
アトランタのラッパーLil Yachtyの5枚目のフルアルバム。
かねてからこのアルバムは脱Hiphop路線で作られることが公言されていました。
まさかのサイケデリック路線。完全にSteve LacyとかToro Y Moi、果てはKing Gizzard & The Wizard Lizardなんかを思い出しちゃうトラックが多かったです。個人的にLil Yachtyのこの感じ、前作よりも圧倒的に好き。
最近よくあるRock路線なアルバムだったり、打ち込みではなくバンドセットで組まれているものだったり、Wiz Khalifaのように80's Disco/Motownにアプローチを仕掛けた曲だったり、本当にHiphopそのものが多様化しているように感じます。
Trippie ReddやMachine Gun Kellyのように脱Hiphopを図ったアルバムを作成するのも、もはや当たり前の光景になってきていますね。
今まで多くの人がイメージするHiphopってG-FunkとかBoom Bapが多かったけれど、今ではむしろそういう曲の方が体感として少ない気が。
このアルバムの路線は今作限定っぽくて、後日リリースされたシングルではRap調の曲に戻っていました。

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