2023/10/22

2023年5月リリースレビュー



2023年5月のリリースを振り返ります。

LE SSERAFIM / UNFORGIVEN
Country: Seoul, KR
Label: Source Music
日本人と韓国人が在籍するガールズグループ。
メンバーの宮脇咲良はHKT48、IZ*ONEというグループでの活動実績があるそうです。
歌詞は日本語・韓国語・英語の3カ国を織り交ぜたスタイルのものがあって、これがけっこう新鮮。
基本的にはKpopキャッチーさが全面に出た曲が多いけど、"Burn The Bridge"みたいなSpoken Wordが飛び道具的にあったり、Techno/Raveな曲があったりけっこう幅広く色んなことをやっているアルバムでもあります。


Drain / Living Proof
Country: California, US
Label: Epitaph Records
HxC好きでDrainを知らないのはナンセンスだと言われそうなくらい、今最も勢いに乗っているバンドではないかな。
Vo.はGulchでDr.をプレイしていたSammyです。
夏の来日も記憶に新しく、映像を観た限りかなり盛り上がっていました。まさにパーティーって感じの熱量。
メタリックでスラッシュなHxCを基調とし、Hiphop的なアプローチも見られるのでストリートカルチャー上がりの音楽としてかなりかましてくれてるアルバムになってます。


Crossed Keys / Believes In You
Country: Pennsylvania, US
Label: Creep Records
Kid Dynamite等のメンバーで結成されたMelodic Punkバンド。
2019年にリリースされたEPの時点でかなりブッ刺さていたので、フルアルバムでこのメロディワークが堪能できるのはマジで耳が幸福でした。
哀愁を帯びたエモメロというところではUKのBeartrade、SamiamとかBodyjar好きな人にも良さそう。
とりあえずキャッチーなの大好きでメロディ重視の人はこのアルバムを聴いた方が良いし、EPも是非チェックを。


Jeromes Dream / The Gray In Between
Country: California, US
Label: Iodine Records
Skramzのレジェンドだった彼らが2019年にカムバックしてから4年。新たなアルバムをドロップしました。
これだよこれ。この破壊的なノイズと狂気的な不協和音。そこに乗っかるJeff Smithの甲高い絶叫。お前らこれを待っていたんだろ?と言わんばかりに全てをぶち壊すサウンド。
前作も原点回帰だし今作も原点回帰してるんだよね。またLoma PrietaのSean Learyがメンバーとして参加したっていうのも大きいかもしれない。
ちなみに貼った曲はアルバムの1曲目です。ど頭からこの勢い、テンション上がるに決まってますね。静と動に関しては神がかってる。まーじかっけえ。


Nightmarer / Deformity Adrift
Country: Oregon, US
Label: Vendetta Records
War From A Harlots Mouthのメンバーが在籍するバンドです。
これは後期WFAHM好きはピンとくるものがありそう。だってGt.のアルペジオとかもろまんまだし。
個人的にWFAHMは"MMX"と"Voyeur"の2枚が好きなんで、アルバム聴いてめちゃくちゃ癖出まくってるなぁって思った。
じゃあWFAHMの後継バンドかと言うとそういうわけでもないのよね。NightmarerはDeath Metal寄りなアプローチが多い。WFAHMはもっと複雑な展開が多かったから3秒前とやってること全然違うみたいな。Nightmarerにそういう要素はないしこっちの方が聴きやすいとも言える。
ただカッコよさは断然WFAHMデス。


Dagger Threat / Unchained
Country: Hamburg, GE
Label: Beatdown Hardwear
昨年のアルバムに比べるとサウンド面で大きな変化はないものの、ミックスとマスタリングが大きく異なっていてそのおかげか曲に対しての印象がかなり変わる仕上がりになっていました。
ドラムの音なんかAs I Lay Dyingの1stアルバムの時みたいだし、Slipknotの2ndも近いものを感じるよなぁって思ったりも。
最後のトラック"Unchained"を是非聴いてみてほしい。あの頃のNu-Metalを思い出すはず。


Jeleel! / Real Raw
Country: Rhode Island, US
Label: 10K Projects
彼はステレオタイプなラッパーと真逆なキャラクターをしています。
まずUSラップシーンには珍しく大卒であること。それから健康志向であること。
リリースした曲がTikTokを通じて再生されていきあれよあれよと言う間に10Kと契約と言った感じです。やはり今の時代ソーシャルメディアの力は大きいんだなぁ。
筋骨隆々な見た目とは裏腹に、Swae Leeあるいはそれ以上の甘いハイトーンボイスを響かせるというギャップを持っています。
ビートもキャッチーでかなり耳馴染みが良いから、Hiphopをあまり聴かない人にもスッと聴けちゃいそうな雰囲気あり。


People In The Box / Camera Obscura
Country: Fukuoka, JP
Label: Bauxite Music
日本で好きなバンドを聞かれたら絶対に名前を挙げる人達です。
ピープルは邦楽好きな人たちの中では名の通っているバンドで、フェスにも出てるし浸透しているイメージがあるのであまりサウンド面を形容しない(する必要もない)っていう印象がある。
彼らがやっていることは何なのかというと、ジャンルのフィルターを通すならEmoでありMath Rockなんだよね。複雑難解なクリーンのアルペジオを多用し、リズムチェンジもよくあるし、曲によっては8分にも渡るスケールで演奏されるものもある。
そしてこれらを3人で成立させているという衝撃。ピープルの曲は繊細さの塊みたいなものなのに、誰一人として演奏に怯んでいないし、むしろ3人の個性は確実に出ているから凄いんだよなぁ。どこを切り取っても難しさしかないのに、凄く簡単そうに聞こえるんだよね。まさに職人。
メロディのセンスもそうだし、とにかくキャッチーで聴きやすいです。
Emoとか言ったけど、海外にはこのタイプのバンドいないです。日本でも唯一無二、最強ってこと。


Island Of Love / Island Of Love
Country: London, UK
Label: Third Man Records
Garageっぽさに、Gt.のうねりとトリッキーなフレーズが印象に残ります。
ただこれだ!っていう曲が無くて残念ながらプレイリスト入りならずでした。


Hot Mulligan / Why Would I Watch
Country: Michigan, US
Label: Wax Bodega
ポストThe Wonder Yearsとして取り上げられることもしばしば。
Emoの繊細さと、Pop Punkの持つエネルギーがぶつかり合うサウンド。そこにVo.の激情的な歌い回しが乗っかり、一言でこれって言えない曲に到達しています。
The Wonder YearsはSoopyは感情の強弱をしっかり落とし込むVo.スタイルに対して、Hot Mulliganはとにかくパワフル。ここが2者の大きな違いかと思う。
貼った曲はアルバムの1曲目。良いね、冒頭からこのテンションはかなり惹きこまれる。


Left To Suffer / Feral
Country: Georgia, US
Label: Self-released
2021年のEPが割とかっこよかったので今作もチェック。
うーんなんかあまり印象に残る曲はなかった。
今回もゲスト陣が豪華で、Kim DraculaとかFit For An AutopsyのJoeが参加しています。


Pony / Velveteen
Country: Ontario, CN
Label: Take This To Heart Records
これめちゃくちゃ良いアルバムでした。
Candy HeartsとかBeach Bunny好きなら間違いないです。かなりPopでキャッチー。
"Sunny Rose"って曲も良いから是非聴いてみて。あとこのアルバムジャケットかわいいよね。


Kid Lightning / Kid Lightning
Country: New Jersey, US
Label: Counter Intuitive Records
Save Face/Joyce Manor/Mom Jeansのメンバーが在籍。
Motion City Soundtrackにようにシンセを取り入れたサウンドが特徴的。
元々やっているバンドとはカラーの違うサウンドだけど、それぞれの持っているポテンシャルっていうのはこのバンドでもしっかり発揮されています。


The Used / Toxic Positivity
Country: Utah, US
Label: Big Noise
2000年初頭のEmo/Screamoという括りでは絶対に名前が挙がるほどのビッグネーム。
当初とはサウンドプロダクションもスケールも全て変わってしまって、よりメジャーな質感でアップデートされた作品を出し続けています。
自分はやっぱり1st~2ndでThe Usedの真髄を体験してしまった世代なので、正直今の彼らに惹かれるものはあまり無いんだけど実は2020年にアルバムが出たときにチェックしていました。
というのも、ジャケが2ndのハートを引用したものでどこか原点回帰を匂わせていたから、そこに期待を膨らませて聴いてみたんですよ。100%ではないけど、「あ、これあの時のThe Usedっぽい」は確かにあって非常にノスタルジーな仕上がりだったんです。
そういうのもあって今作も聴いてみました。
プロデュースはGoldfingerのJohn Feldmannで、彼は2000年のPunk/Emoにおいては重要人物。The Usedはもちろん、Story Of The Yearの"Page Avenue"やGood Charlottの2nd~3rdなども手掛けていて、自分が当時聞いてたアルバムは大体この人が関わっていたという新発見。今もばりばり現役で、Iann DiorとかJasiahのプロデュースといったHiphop畑にも活動の幅を広げているみたい。


Summer Walker / Clear 2: Soft Life
Country: Georgia, US
Label: Interscope Records
Jhenè Aiko、Solange、SZAを彷彿とするR&Bシンガー。
ライブ映像ではGt.を弾いて歌っていることもあり、H.E.R.を思い出しました。
Clearシリーズはフルアルバムとは違った側面を表現している作品なので歌詞など読み解いていくと面白さが増します。


Radiator Hospital / Can't Make Any Promises
Country: Pennsylvania, US
Label: Salinas Records
いつもいつも"Something Wild"で見せた初期衝動的なサウンドを期待してしまふ。
ただここ数作品の彼らはゆるっとしたギターポップみたいなサウンド。
好きな曲もあるけど、Good Luck的な勢いが欲しいなぁと思ってしまふ。


Natalie Evans / Better At Night (B-sides)
Country: London, UK
Label: Self-released
昨年リリースしたアルバムではNatalie Evansの引き出しを増やすような、またスケールのある楽曲で構成された仕上がりとなっていました。よりSSWっぽい作品になっていました。
音大卒でギター、ピアノ、ハープの演奏に長けているマルチプレイヤー。
そんな彼女の新作は2018年にリリースされたBetter At NightのBサイド集。あえて2作前からの選曲。
やっぱり彼女からOwenのようなEmo/Ambientなスピリッツを感じるし、ミニマムで繊細なキラキラした音像を表現するセンスっていうのがかなり長けているよなぁ。


Kodak Black / Pistolz & Pearlz
Country: Florida, US
Label: Atlantic Records
USのHiphopシーンではZ世代ラッパーとして知名度も抜群。
Justin Bieberのパーティ中に銃撃されたり、自身アルバムに参加するために枕を持ちかける(という噂)があったり、なかなかの破天荒っぷりを見せています。
そんな彼ですが昨年リリースされたKendrick Lamarのアルバムのゲストに抜擢されるなど、ラッパーとしての評価は高め。


Lil Durk / Almost Healed
Country: Illinois, US
Label: Alamo Records
正直好きではないんだけど、なんか毎度淡い期待を抱いて「今回こそは好きな曲があるかもしれない」精神でチェックしてしまいます。
今作はこの"Stand By Me"がぶっちぎりで良かったです。キャッチ―は正義。

Heart Attack Man / Freak Of Nature
Country: Ohio, US
Label: Triple Crown Records
Early 00's感満載のフルアルバム。
重厚なサウンドに対して、Blink-182やSimple Plan、Sum41の1stアルバムのようなストレートさとキャッチ―さを併せ持った仕上がり。
Super Americanの"SUP"を思い出すようなアルバムでした。
Vo.のEricはHighway SniperというHxCバンドもやっていて、Taking MedsのVo.であるSkylerもメンバーです。なんか超ダークって感じのサウンドだったよ。


Incendiary / Change The Way You Think About Pain
Country: New York, US
Label: Closed Casket Activities
この時期やたらVein.fmを聴いていて、Nu-MetalライクなHxCというものを凄く欲していた時期だったのよね。
そんな状態でこのバンドを知ったので、新譜をチェックするに至りました。
Incendiaryなんて英会話でも日常的には出てこないし、何かの造語だと思ったらこれで1つの単語なんやな・・・
意味は確か”焼夷弾”だった気がする。全然ダイアリーじゃない!


Entry / Exit Interview
Country: California, US
Label: Convulse Records
Touché Amoréのメンバーが在籍するHxCバンド。
レーベルメイトでもあるGelのようなファストでアグレッシブなサウンドです。
自分は未だにPunchのようなバンドを求めているのだけど、やはり今一歩及ばずなんだよなぁ・・・


Lektron / Lektron
Country: Illinois, US
Label: Asian Man Records
Alkaline TrioのMatt Skibaによる新バンド。
Blink-182でTomに代わって長らく代打を務めていたけど、ようやくその役目も果たし終えましたね。
Alkaline Trioも新譜をリリースするので、元々のバンドたちも本腰入れて再始動といったところでしょうか。
LektronもAlkaline Trioの延長線上のサウンドなのでアルバムで聴いてみたい。

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